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タナトスの双子 1917 [BL小説 和泉桂]


タナトスの双子 1917 (SHYノベルズ)

タナトスの双子 1917 (SHYノベルズ)

  • 作者: 和泉 桂
  • 出版社/メーカー: 大洋図書
  • 発売日: 2009/12/17
  • メディア: 新書


和泉桂 著。

ユーリ・ドミドリエヴィチ・オルロフ:軍人。侯爵家継嗣。
ヴィクトール・イワノヴィチ・カヴェーリン:ユーリの副官。

ミハイル・アラモヴィチ・フロムスキン:居酒屋の息子。ユーリの双子の兄。
アンドレイ・ニコライエヴィチ・グロトフ:ミハイルの幼馴染。

マクシム・ヴァジリエヴィチ・ラジオノフ:伯爵家三男。新聞記者。ユーリの幼馴染。


失ったものの大きさに生きる意味を無くしたユーリは、シベリア送りになるところを副官であったヴィクトールにより阻止される。以前とは逆になった立場のユーリは、ヴィクトールに抱かれながらミハイルを憎むことでしか生きられないことを植えつけられる。一方、追われる身となったミハイルは共にいるアンドレイを愛していると気づく。過去の記憶も取り戻し、ユーリの愛情を知ったミハイルだったが、軍職に返り咲いたユーリが名を変え、自分を追っていることを知り……。


追う身となり追われる身となり。
互いに憎みあいながらも、互いに半身としてかけがえのない愛情を持つことを知り。
自分の愛すべき人と共に生きていくために選択を迫られ。

ユーリとヴィクトール。
ミハイルとアンドレイ。

二組の愛憎が入り乱れていて、引き裂かれてしまった双子の切なさに、
涙がとまらんかったー(´Д⊂ヽ
二組とも追う側になったり、追われる側になったりと、帝政ロシアが崩壊し革命が起こる混乱とともに立場が逆転するので、どっちにもハラハラした。詳しく見れば齟齬はあるかもだけど、帝政ロシア末期の退廃と混乱とが上手く登場人物たちの複雑な状況に絡んでいて、二段組でも飽きない読み応えのある小説だった。
満足。

ヴィクトールはテラ深沢……w
でも深沢より甘いんだよー(;´Д`)ハァハァハァハァ
どうにも小西さん声で再生してしまったお。


以下、結末について自分解釈を……。
超ネタバレなので未読の方は回避してくださいね。







この話の結末……
私はBADでもありかな、つか物語全体の雰囲気を考えるとBADでも全然(・∀・)イイ!! とさえ思うんですが。

やっぱり、【特徴のある足音】はユーリだと思う。
あのヴィクトールが【峻厳な口許を和らげ】ゆっくりと振り返ったってことは、ユーリなのかな、と。
ユーリは足を怪我から不自由しているのだし、そういう意味で【特徴のある足音】なんだろうし、ここで聞き分けられない男ではないと思うんだ。

そう思うと数ページ前にある、

【それはこの世界に終焉をもたらすものではなく、焼き尽くすための浄火。愛も憎悪もすべてを燃やし、灰燼に帰するのだ。】

という文章が、離れ離れになってからの双子の憎しみと愛とが入り交じった感情が、すべてリセットされたってことを意味してるように思えるし、帝政ロシアの崩壊とともに、混乱を経て、新たなスタートを切っていく祖国と重ね合わせるように、双子もまたそれぞれ愛する人と新たに生きていくことに、重ね合わせることもできるかなーと思った。
双子はもう一緒にいることはできないし会うこともないだろうけど、

【どんなに遠く離れても、心はずっと一緒だよ】

という言葉に支えられながら、一度は失いながらも取り戻すことのできた半身を二度と失うことなく、互いの恋人とともに穏やかに暮らしていったのだろう、と解釈しました。


個人的には、

 火事で双子死亡 → 特徴のある足音=秘密警察

でも良いと思うんですけどね(゜∀゜)アヒャ
退廃的なカンジがいいかな~と。つか最初は絶対そう!と信じてたので、なんでヴィクトールは【峻厳な口許を和らげ】て振り返るんだよ!おかしいだろううううう(´Д⊂ヽ とさえ思ってたくらいデスw


追記:冬コミで和泉さんとこで頂いたペーパーのSSを読んでも、やはりこの最後はハピエンでいいじゃないかと思います。


【追記 2010.1.25】
作者HPでペーパーの注記が……!
おおう。。。自分はてっきり1917以後に書かれた手紙(=本編以後、ユーリによって書かれた)と思って読んでいたよorz
そっか……革命前に書かれた手紙なのか。

なんだ……(;´Д`)

まぁ、解釈は読者個人に委ねるってことなので、じゃ、個人的には……


  BAD END 説 を 推 奨 (・∀・)ノ


オイッwww
でもBADにしては、上にも書いたようにおかしな点多杉なんだよなー。
どっちでも取れるようにしてるのか。。。



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